“ガラパゴス化”する残念な日本の憲法学者

PRESIDENT Online 9/7(木) 15:15配信

http://president.jp/articles/-/23017

 日本国憲法はアメリカの「戦後処理」の一環でつくられた。だから憲法もアメリカを中心とする国際秩序の中にある。しかし日本の憲法学者たちは、「日本国憲法が正しく、国際法が間違っている」と論じ、集団的自衛権を否定してきた。なぜこんな理解が成り立つのか。「ガラパゴス化」する憲法学者の欺瞞を、国際政治学者が問う。

■「憲法9条=絶対平和主義」は本当か

東京大学法学部に代表される日本の憲法学者は、「憲法9条は絶対平和主義を表現するものだ」と主張してきた。しかし、それは正しい理解だろうか。体系的な憲法9条の読み方とは、むしろ国際法に合致した国際協調主義的なものではないだろうか。

国連憲章もまた2条4項において、武力行使を禁止する条項を持っている。その点では、日本国憲法と全く同じである。国連憲章は、武力行使禁止の一般原則に対する例外を明示している。国連憲章第7章で規定されている集団安全保障と、憲章51条の個別的・集団的自衛権だ。

憲法9条は国連憲章を前提として成立した。このため、武力行使禁止原則の例外規定も前提になっている。これは、連合国軍総司令部(GHQ)関係者だけでなく、芦田均元首相などの日本人たちにも共有されていた認識だ。

日本国憲法の前文は、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とうたっている。「平和を愛好する諸国民」という概念は、国連憲章が加盟国を指して用いている概念である。

したがって憲法の前文は、「連合国=国連を信頼して日本の安全と生存を保持することを決意した」、ということを宣言しているわけである。それは、国連が定める武力行使禁止一般原則および集団安全保障や個別的・集団的自衛権の仕組みを信頼して、自分たちの安全と生存を維持する、ということを意味する。

 当時の日本の状況を考えれば、国連に集う「平和を愛する諸国民」の集団安全保障体制を信頼して、自国の安全を図っていくという宣言は、自然なものだっただろう。1946年7月9日の憲法制定議会において、吉田茂総理大臣は、国連「憲章に依(よ)り、又国際連合に日本が独立国として加入致しました場合に於(おい)ては、一応此の憲章に依つて保護せられるもの、斯(こ)う私は解釈して居ります」と答弁している。

憲法前文と9条を素直に読めば、それらが、日本が第2次世界大戦後の国際秩序の中で自国の安全を確保していくことを宣言した条項であることは、明らかである。9条の解釈は、国際法体系の中で行っていくのが、もっとも正当な解釈だということだ。

■「逆コース」は憲法解釈の前提を変えたのか

ところが多くの憲法学者は、これを否定する。冷戦勃発によって国連の集団安全保障体制が機能しないことが明らかになったとき、9条は国際法システムから切り離されて、孤高の絶対平和主義の規定になった、などと説明するのだ。そのときアメリカは、自分が作ろうした国際法のビジョンを裏切って、自分が押し付けた日本国憲法の理想も裏切って、冷戦時代の汚い国際政治の都合で日本に再軍備を迫った、と描写する。

こうしたいわゆる「逆コース」路線は、単に「レッドパージ」のような流れを占領軍が導入した政策的な動きであるだけではなく、憲法解釈の社会的環境を根本的に変えた、とするのが伝統的な日本の憲法学者の見解なのである。

冷戦勃発によって、日本国憲法はアメリカが「押し付けた」ものから、アメリカが否定したいものに変わった。そこで戦前の軍国主義者や親米反共主義者がこぞって改憲論者になった。しかし平和を愛する一般市民とその守護神である憲法学者は、残された孤高の憲法典を武器にして、それに「抵抗」する――。憲法学者たちはそんな世界観を生み出し、「冷戦勃発によって憲法解釈の土台が変わった」と考える。

「もはや憲法を国際法に沿って解釈することは、邪悪なアメリカの軍事戦略に加担して憲法の精神を踏みにじる行為に等しい。アメリカの圧力にも、間違った国際法の仕組みにも『抵抗』して、強く絶対平和主義を唱えることが、憲法が日本市民に求めていることだ」といった前提で、全ての推論を進めていくことになる。

だが、本当にこれは妥当な態度だろうか。憲法を起草したマッカーサーらが、「日本の自衛権まで憲法は禁止していないはずだ」といったことを後に述べているのは、すべて冷戦勃発による詭弁でしかないのだろうか。そもそも1946年当時、アメリカは冷戦の勃発を全く想像していなかったのだろうか。そして冷戦勃発に狼狽し、自分が押し付けた憲法典を否定するべく奔走し始めた、ということなのだろうか。

アイゼンハワー政権時代に副大統領を務めていたリチャード・ニクソンが1953年に来日した際、「憲法9条を作ったのは間違いだった」という発言をしたことは、確かに有名である。だがニクソン発言は、本当に憲法典の仕組みに関するものだっただろうか。政治運動の方向性の話として、9条削除を求めたにすぎない発言ではなかっただろうか。

■国際法を無視した「自衛権」論の不毛

日本の憲法学者たちは、無意識のうちに強力な「国内的類推」の推定をかけ、恣意(しい)的な結論を導き出す。集団的安全保障=世界警察に類するもの、個別的自衛権=自然人の正当防衛に類するもの、と推定し、前者が機能しないと、ただ後者だけが残される、という世界観を自明視しがちになる。

そこですっぽりと抜け落ちてしまうのは、国際法特有のその他の制度的仕組みである。例えば国連憲章51条の集団的自衛権について考えてみよう。

憲法学者は、国際法特有の制度を謙虚に学んでから憲法と国際法の関係を論じようとはせず、むしろ集団的自衛権を定めた憲章51条を、「本来の(個別的)自衛権とは論理構造を全く異にする異物です」(石川健治「集団的自衛権というホトトギスの卵」『世界』2015年8月)などと描写する。そして、「同盟政策を否定する日本国憲法9条の解釈にもちこもうとしたとき、再び集団的自衛権の異物性があらわになった。(中略)それが国際法の常識に反するという見方もあるようですが、むしろ国際法上の自衛権概念の方が異物を抱えているのであって、それが日本国憲法に照らして炙(あぶ)りだされた、というだけ」(石川健治「憲法インタビュー安全保障法制の問題点を聞く」『Ichiben Bulletin』2015年11月1日)などと主張する。

集団的自衛権の「異物性」とは、いったいどういう意味なのだろうか。国連憲章51条は、集団安全保障の機能不全の場合に、補完的措置として集団的自衛権を行使することを容認する条項である。「平和愛好国」である国連加盟国が、「国際の平和及び安全を維持するために力を合わせ」、集団的に行動することを容認するのでなければ、自衛権は机上の空論に終わる。

憲法学者の方々は、国家の自衛権の発動はそれ自体が公権力の発動であり、自然人の正当防衛のようなものではない、という点を理解しようとしない。結局のところ安保理が加盟国に行動を勧告する事態に至るかもしれないとしても、それは「世界政府の世界警察」とは違う。あくまで、より広範な共同行動で対処する、ということにすぎない。集団安全保障も、個別的自衛権も、そして集団的自衛権も、国家が持つ正当な公権力の行使の積み重ねの上に成り立っている。国連憲章は、それを国際法が認めていることを明らかにしているのだ。

 「国際法における集団的自衛権の考え方は、刑法には見られない。だから異物だ。国際法は間違っている」などと考えるのは、典型的な「ガラパゴス思考」である。

国際法における自衛権は、国内刑法における「正当防衛」とは制度的仕組みが異なる。そういう当たり前のことを、なぜ理解しないのか。あるいは、憲法学者は「憲法98条は国際法遵守を求めてはいるが、最後は憲法優位説をとるべきだ」といった論点を持ち出す。憲法が国際法の遵守を求めているのに、なぜそれを無視するのか。

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日本国憲法(*1)

【第9条】
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2. 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

▼国際連合憲章(*2)

【第2条】
4. すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。

▼同第7章:平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動

【第39条】
安全保障理事会は、平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為の存在を決定し、並びに、国際の平和及び安全を維持し又は回復するために、勧告をし、又は第41条及び第42条に従っていかなる措置をとるかを決定する。
(中略)
【第41条】
安全保障理事会は、その決定を実施するために、兵力の使用を伴わないいかなる措置を使用すべきかを決定することができ、且つ、この措置を適用するように国際連合加盟国に要請することができる。この措置は、経済関係及び鉄道、航海、航空、郵便、電信、無線通信その他の運輸通信の手段の全部又は一部の中断並びに外交関係の断絶を含むことができる。
【第42条】
安全保障理事会は、第41条に定める措置では不充分であろうと認め、又は不充分なことが判明したと認めるときは、国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍または陸軍の行動をとることができる。この行動は、国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる。
【第43条】
国際の平和及び安全の維持に貢献するため、すべての国際連合加盟国は、安全保障理事会の要請に基き且つ1又は2以上の特別協定に従って、国際の平和及び安全の維持に必要な兵力、援助及び便益を安全保障理事会に利用させることを約束する。この便益には、通過の権利が含まれる。
前記の協定は、兵力の数及び種類、その出動準備程度及び一般的配置並びに提供されるべき便益及び援助の性質を規定する。
前記の協定は、安全保障理事会の発議によって、なるべくすみやかに交渉する。この協定は、安全保障理事会と加盟国との間又は安全保障理事会と加盟国群との間に締結され、且つ、署名国によって各自の憲法上の手続に従って批准されなければならない。
(中略)
【第51条】
この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。

(*1)総務省・法令データ提供システムより
(*2)国連広報センターのウェブサイトより
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東京外国語大学教授 篠田英朗(しのだ・ひであき)
1968年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業、同大学大学院政治学研究科修士課程修了、ロンドン大学(LSE)大学院にて国際関係学Ph.D取得。専門は国際関係論、平和構築学。著書に『国際紛争を読み解く五つの視座 現代世界の「戦争の構造」』(講談社選書メチエ)、『集団的自衛権の思想史――憲法九条と日米安保」(風行社)、『ほんとうの憲法 ―戦後日本憲法学批判』(ちくま新書)など。
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東京外国語大学教授 篠田 英朗

 

安倍首相の功績とそれに対する誤解

凄すぎる安倍首相の功績をまとめました。

大阪の橋元前市長もそうですが、だからこそマスコミ・野党を初め敵が多いのです。

反対する人たちのバックは誰なのか?マスコミは情報を操作しますので、マスコミの情報だけでなく条文等の元の資料も確認するようにしましょう。

日本人なら誰を応援すべきかきちんと考えましょう。

安倍首相の功績とそれに対する誤解

PDFをご覧ください↑

ただ、あまりにも仕事が早いので、それに対する懸念もわかります。政府・自民党には丁寧な説明をし続けてほしいと思います。

 

TW11-1

TW11-2

創氏改名は「朝鮮が希望、日本は反対」 「左翼」が作った北朝鮮史は欺瞞に満ちていた…  「北朝鮮経済史」を読む

産経ニュース 2017.1.14 13:00

平成28年11月、知泉書館(東京都文京区)という学術専門出版社から『北朝鮮経済史 1910-60』が出版された。約150ページの書籍。日韓併合から敗戦による南北分断、朝鮮戦争(50~53年)、「千里馬(チョンリマ)運動」などにより社会主義国家・北朝鮮が大躍進を遂げたとされる時代の経済史だ。日本統治時代のデータと旧ソ連にあった北朝鮮の公式データなどを付き合わせることで、日本における北朝鮮をめぐる近現代研究が、いかに欺瞞(ぎまん)に満ちていたかを指摘している。(文化部 村島有紀)

(※1月6日にアップされた記事を再掲載しています)

初版わずか800部。著者の木村光彦・青山学院大教授は、ソ連の崩壊後、ロシア公文書館で公開された1946~65年の北朝鮮に関する資料を翻訳し、6年前に『旧ソ連の北朝鮮経済資料集』を出版した経済学者だ。編集担当の小山光夫さんは「北朝鮮の情報を資料に基づいた研究をしている人は日本では木村さんだけ。その木村さんが間違いがないとする範囲で初めて出版した通史」と出版意義を強調。裏表紙には《半世紀にわたる北朝鮮の経済史を膨大なデータを活用して考察し、はじめてその実相を明らかにした画期的な概説書》と喧伝する。

本書の主なデータは、戦前は、朝鮮総督府の統計年報、戦後は北朝鮮や旧ソ連の経済資料などに依拠している。木村教授はもともと、アジアの開発経済が出発点。マクロとミクロ双方の視点から、データを基にコツコツと北朝鮮経済を研究するが、「本に書いたことがすべて」という。

そこで、代わりに木村教授との共著『北朝鮮の軍事工業化』がある、元通産省技官で、日本統治時代の北朝鮮の産業遺産に詳しい安部桂司さん(77)=ペンネーム、安部南牛=に、『北朝鮮経済史-』とその時代背景について、解説してもらった。

まず、1910~45年の日本統治時代と、1945~60年の北朝鮮経済を切り取り、分析する意義については、「北朝鮮の労働新聞(朝鮮労働党機関紙)には、日本統治時代の経済がいかにひどかったか、糾弾されている。そうではなく、実態はこうだったと伝えることが大事だから」と話す。

木村教授は本書で、日本統治時代の朝鮮半島の北半分(咸鏡道=北鮮▽平安道、黄海道=西鮮)を「北部」に分類。1910年以前の自然や産業などの初期条件を述べた後、農業、鉱工業、初等教育、防疫についてそれぞれ半世紀の変化を分析する。

例えば、農業の分野では「日本が朝鮮半島の物資を収奪したために住民が飢え、流民になった」などとされる。しかし、統計では、1920~30年代には米の作付面積が大きく増え、1人当たり生産量で南部を上回る地域もあった。一方で、雑穀などの生産量も減っていない。木村教授は本書で《全食糧作物の1人当り生産量は、1920年代から朝鮮北部が南部を上回った》と述べ、住民の消費量を1938年に限って輸出入を調整して推計すると、0・28トン(穀物のみ)。《この量なら飢餓は起こらない》と結論づける。

朝鮮北部の米作発展を促進したのは、日本の東北地方から導入された寒冷地向けの品種だ。

安部さんは「もともと北部で米は常食されていなかった。日本の水利事業が成功したことで米を生産できる土地が増え、平壌は日本一の日本酒の産地になった。日本酒を造った理由は満州への需要が大きかったのと、米の消費先として最も収益がいいから。物資を奪ったわけではなく、農民には当然代金が支払われた」と説明する。

日本統治時代のできごとは、徴用(賃金を払っての動員)が強制連行(奴隷労働)になり、資本主義に基づいた貿易が、「収奪」と言い換えられている。なぜ、このようなことが起きてきたのだろうか。

「資本主義は悪で、社会主義が善という考えで歴史をみてきたからだ」と安部さん。また、第2次大戦の敗戦後、朝鮮研究を熱心に担ったのは朝鮮半島出身の在日の学者や、贖罪(しょくざい)意識を持つ日本人研究者らの“左翼”で、帝国や総督府が発表した公式資料を「官の歴史として信用せず、一般人からの聞き書き、証言に資料価値を置いた」(安部さん)という。その結果、在日朝鮮・韓国人の間で語られた流言を含め、「飢餓輸出」や「強制連行」、「創氏改名の強制」「従軍慰安婦」などが“史実”として一人歩きを始めた可能性がある。

「戦前、朝鮮半島から日本に来るとき多くの人が日本名を名乗った。そのほうが便利だからだ。戦後、米国に移民した多く朝鮮人が米国風に名前を変えたのと同じだ。ところが、日本名を名乗るのは恥辱になり『強制された』となった。『創氏改名』は朝鮮側からの希望であり、実際は治安上や従業員管理の問題により日本側からは反対が多かった」と安部さんは憤る。

一方、『北朝鮮経済史 1910-60』には、木村教授自身が長年、会費を払い続けた学会「朝鮮史研究会」(1959年発足、総連系)への“告発文”と読める文章が18ページに渡り「補章」として掲載されている。同会が極めて、北朝鮮寄りの政治性とマルクス・レーニン主義の歴史観を有し、実証的な歴史書編纂(へんさん)をしてこなかった過去と現在についての“告発”だ。

例えば、同研究会が昭和49(1974)年に出版した『朝鮮の歴史』(三省堂)だ。同書は、古代から現代までを記した朝鮮半島通史でありながら、《反日イデオロギーと情緒的日本断罪論》に終始。日本統治下で朝鮮人の生活状態が悪化した証左とするデータに誤った数字を用いた上、日本=絶対悪として批判する。

一方、同研究会の活動は、教育現場にも大きな影響を与えてきた。同じく朝鮮史研究会が編集した歴史書には、昭和61(1986)年に発行した『入門 朝鮮の歴史』がある。教職員向けのガイド本だが、1960年代初頭には、北朝鮮では農業生産力も順調な軌道にのり、北朝鮮内の自給が実現、米も安価に供給されているとある。

木村教授の分析は違う。北朝鮮の戦後統計では、朝鮮戦争中も穀物の総作付面積が増大している点を疑問視。《戦闘で国土が破壊された一方、労働力・資材の不足が極限にたっした中で、作付増大が生じたのは不自然》と述べ、1945年に0・26トンだった1人当たり食糧生産量が、1957年に0・45トンに急増したという数値についても《政府が過大に作り上げたプロパガンダの一種》と結論づける。

さらに『入門 朝鮮の歴史』にある「強制連行と徴兵」についての記述は以下の通りだ。

《朝鮮各地から強制的に狩り集められた若い女性たちが遠くはビルマ戦線から中国大陸、南洋諸島などに送り込まれ、日本兵士を『慰安』する肉体提供者として利用された。日本軍と行動をともにした彼女たちは戦死、病死、自殺に追いこまれ、生きて帰った人はまれであったといわれる。その数は確認できないまま今日にいたっているが、十数万人にのぼったといわれている》

今現在、韓国で信じられている“従軍慰安婦”の内容とほぼ同じ。強制の根拠となる事実や数字の裏付けがないまま一方的につづられている。

朝鮮史研究会は、かつて日本の朝鮮史研究者をほぼ網羅し、現在も数百人の会員がいるとされる。隣国の理解のためには、まず、研究者による歴史の実証研究が求められている。

日本を追い込んだルーズベルト 背景に人種偏見と共産主義 入門・日米戦争どっちが悪い(5)

産経ニュース 2017.1.1 01:00

 

米大統領フランクリン・ルーズベルトは、1939年9月に欧州で始まった第二次世界大戦でドイツに追い詰められていた英国を助けるためにも、参戦したいと考えていました。しかし米国民の圧倒的多数は第一次大戦に懲りて戦争を望んでおらず、ルーズベルトは1940年11月に3選を果たした際に「あなた方の子供はいかなる外国の戦争にも送られることはない」と、戦争しないことを公約にしていました。

選挙公約に反して戦争たくらむ

参戦するにはよほどの口実が必要です。米軍はドイツの潜水艦を挑発して、ドイツ側から攻撃させようとしましたがドイツは引っ掛かりませんでした。そのためルーズベルトは、ドイツ、イタリアと三国同盟を結んだわが国を挑発するという「裏口」からの参戦をたくらんだのです。

12月、米国議会は中国国民政府への1億ドルの借款供与案を可決。ルーズベルトは「われわれは民主主義の兵器廠とならなければならない」との談話を発表しました。翌1941年3月には、大統領の権限で他国に武器や軍需品を売却、譲渡、貸与することができる武器貸与法を成立させました。これによって英国や中国国民政府、ソ連に軍事援助を行いました。「戦争しない」と言って選挙に勝った、わずか半年後のことです。

ルーズベルトの側近中の側近である財務長官ヘンリー・モーゲンソーは1940年、宣戦布告せずに国民政府軍を装ってわが国を先制爆撃する計画を政権内部で提案しました。「日本の家屋は木と紙でできているのだから焼夷(しょうい)弾で焼き払おう」と目を輝かせたといいます。米国は早くから関東大震災の被害を分析し、焼夷弾による空襲がわが国に対して最も効果的だと認識していました。

モーゲンソーの案はそのときは採用されませんでしたが、米国はフライングタイガースと称して戦闘機100機と空軍兵士200人を中国に派遣し、前回紹介した退役軍人クレア・シェンノートの指揮下に置きました。戦闘機は国民政府軍のマークを付けていましたが、米国は実質的に支那事変に参加していました。日米戦争は始まっていたのです。ルーズベルトは有権者への公約を破っていました。

国民政府軍を装ったわが国への先制爆撃計画は翌1941年、息を吹き返します。7月23日、ルーズベルトはJB355と呼ばれる文書に署名しました。その文書は150機の長距離爆撃機を国民政府軍に供与して、東京、横浜、京都、大阪、神戸を焼夷弾で空襲するという計画書でした。真珠湾攻撃の5カ月前にルーズベルトはわが国への攻撃を命令していたのです。

しかも、この計画を推進した大統領補佐官ロークリン・カリーはソ連のスパイだったことが明らかになっています。

JB355への署名から2日後の7月25日、米国は国内の日本資産を凍結。28日にわが国が南部仏印進駐に踏み切ると、米国は8月1日、わが国への石油輸出を全面的に禁止しました。そして英国、中国、オランダをそそのかして封じ込めを強めました(ABCD包囲網)。石油がなければ国は成り立ちませんから、「死ね」と言っているのと同じです。

第一次世界大戦の後、侵略戦争を放棄しようとパリ不戦条約がわが国や米国、英国、フランスなどの間で結ばれていました。米国務長官フランク・ケロッグとフランス外相アリスティード・ブリアンの協議から始まったことからケロッグ・ブリアン条約とも呼ばれています。

ケロッグは条約批准を審議する議会で、経済封鎖は戦争行為ではないかと質問されてこう答弁していました。「断然戦争行為です」。つまり米国はわが国に戦争を仕掛けたのです。

戦争準備のため時間稼ぎ

わが国は米国との対立を平和的に解決しようと交渉していました(日米交渉)。石油全面禁輸から1週間後の8日、首相の近衛文麿はハワイでの日米首脳会談を駐米大使の野村吉三郎を通じて米国務長官コーデル・ハルに提案しました。しかしルーズベルトはそのころ、大西洋上の軍艦で英国首相ウィンストン・チャーチルと謀議を行っていました(大西洋会談)。

ここで発表されたのが有名な大西洋憲章で、「領土不拡大」「国民の政体選択権の尊重」「強奪された主権・自治の返還」がうたわれました。さんざん植民地を増やしてきた米国と英国に言われても説得力はありません。

実際「政体選択権の尊重」はドイツ占領下の東欧のことを言っていて、アジアの有色人種に適用するつもりはありませんでした。ウィルソンの「民族自決」、ヘイの「門戸開放」などと同様、美辞麗句と行動が一致しないのが米国です。

大西洋会談でルーズベルトは、参戦を求めるチャーチルに対して「3カ月はやつら(日本)を子供のようにあやすつもりだ」と述べました。戦争準備のため時間稼ぎをするのでしばらく待ってくれという意味です。ルーズベルトはわが国に対して「ハワイは無理だが、アラスカのジュノーでなら会談してもいい」などと回答して気を持たせましたが、初めから首脳会談を行うつもりなどありませんでした。

実は前年の1940年10月、米海軍情報部極東課長アーサー・マッカラムが、日本を追い詰めて先制攻撃させる方法として8項目の覚書を書いています(マッカラム覚書)。そこには「在米日本資産の凍結」や「オランダとともに日本への石油輸出を禁止する」といった内容がありました。それがほぼ実行に移されたのです。

1941年11月15日、米陸軍参謀総長ジョージ・マーシャルは非公式の記者会見で「紙でできた日本の都市を燃やす」「市民を爆撃することに何の躊躇も感じない」と言い放ちました。

26日、米国はわが国に中国大陸からの撤退などを求めるハル・ノートと呼ばれる最後通告を突き付けてきました。

ハル・ノート起草したのはソ連のスパイ

ルーズベルトは極端な人種差別主義者で、日本人を病的に蔑視していました。「日本人は頭蓋骨の発達が白人より2000年遅れているから凶悪なのだ」と大真面目に信じていたのです。駐米英公使ロバート・キャンベルはルーズベルトとの会談内容を本国に報告した手紙で、ルーズベルトがアジアで白人との人種交配を進めることが重要と考え、「インド-アジア系、あるいはユーラシア系、さらにいえばヨーロッパ-インド-アジア系人種なるものを作り出し、それによって立派な文明と極東『社会』を生み出していく」、ただし「日本人は除外し、元の島々に隔離してしだいに衰えさせる」と語ったと書いています。

「元の島々に隔離してしだいに衰えさせる」という妄想を言葉に出して、わが国に通告したのがハル・ノートなのです。

もし米国が他国から「建国当初の東部13州に戻れ」と言われたらどう思うでしょうか。戦後の東京裁判でインド代表判事のラダビノード・パールは「同じような通牒を受け取った場合、モナコ王国やルクセンブルク大公国でさえも合衆国に対して戈(ほこ)を取って起ち上がったであろう」という歴史家の言葉を引用しています。

ハル・ノートは国務長官のハルが手渡したためそう呼ばれていますが、原案を書いたのは財務次官補ハリー・ホワイトでした。ホワイトはJB355を推進したカリーと同様、ソ連のスパイでした。米国とわが国を戦わせるため、とても受け入れられない強硬な内容にしたのです(ホワイトがソ連のスパイだったことは戦後明らかになり、下院に喚問された3日後に自殺しています)。

ハル・ノートを出す前に米国は暫定協定案を作っていました。わが国が受け入れ可能な内容でしたが、中国国民政府の蒋介石が強硬に反対しました。カリーの推薦で蒋介石の顧問になっていたオーエン・ラティモアが暗躍していたのです。米国のシンクタンク、太平洋問題調査会(IPR)にはラティモアら共産主義シンパが入り込んでいました。わが国の昭和研究会と同じような役割を果たしたといえます。

ルーズベルト政権には300人ものソ連への協力者が入り込んでいました。ソ連の浸透は、ソ連のスパイが本国とやり取りした暗号電報を米軍が解読したヴェノナ文書が1995年になって公開されて明らかになりました。

前に述べた通り、ルーズベルトは共産主義への警戒感はなく、ソ連の独裁者ヨシフ・スターリンについて「共産主義者ではなく、ただロシアの愛国者であるだけだ」と言っていました。妻のエレノアも共産主義に共鳴していました。ルーズベルトはわが国と米国を戦わせようというスターリンの謀略に影響されていたのです。

こうしてわが国は追い詰められていきました。

=つづく

「アベ=歴史修正主義者」のレッテルはオバマ政権中枢まで染みわたっていた… 米議会演説を機に米側に変化

産経ニュース 2016.12.28 06:29

首相、安倍晋三は日本時間の28日午前、米大統領のバラク・オバマとともにハワイ・真珠湾で戦没者を慰霊し、先の大戦で敵国同士だった日米の和解を演出する。熾烈な歴史戦を繰り広げてきた安倍とオバマがようやくたどり着いた「真の和解」の場ともいえる。

安倍晋三が首相に返り咲いた直後の平成25年元日。在米ニューヨーク総領事館幹部に一本の電話が入った。旧知の米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)の論説担当者だった。

「翌日の社説でアベを取り上げるから確認したい」

話を聞くと、「慰安婦=性奴隷」を否定する安倍を「保守反動の歴史修正主義者」だと徹底批判する考えだという。総領事館幹部は「あまりにひどい」と事実誤認を正したが、激しい口論となった。

総領事館幹部は「ある程度納得してくれた」と思ったが、NYT紙は翌2日付で「日本の歴史を歪曲する新たな試み」と題した社説を掲載した。安倍が村山談話見直しを示唆したことについても「安倍は右翼ナショナリスト」「日本の戦時中の歴史書き換えへの意欲を隠さない」「過去を歪曲する」と書き連ねていた。

こうした偏向した見方はNYT紙だけではなかった。米議会調査局が同年5月にまとめた報告書は、安倍を「強固なナショナリストだ」と断じ、安倍の歴史認識が「地域の国際関係を混乱させ、米国の国益を損なうとの懸念を生じさせてきた」と指摘した。

朝日新聞など日本の一部メディアが「安倍=歴史修正主義者」というレッテルを貼り続けたことが一因だとみられるが、中国や韓国が米議会などで歴史問題に関するロビー活動を続けてきたことも大きい。

米大統領、バラク・オバマや側近もNYT紙と同じような認識だった。「オバマは安倍に警戒感を持っていた」とある日本政府高官は断言する。

当初は首脳会談も渋り、初会談が実現したのは25年2月下旬だった。ワーキングランチを含む1時間45分間、オバマは終始冷淡だった。第2次安倍政権はオバマ政権と冷え切った状態からスタートしたのだ。

× × ×

安倍はオバマとビジネスライクな関係を続けてきたが、25年12月26日に安倍が靖国神社を参拝したことで関係は一気に険悪化した。

「日本は大切な同盟国であり、友好国である。しかし、日本の指導者が近隣諸国との関係を悪化させる行動を取ったことに米国は失望している(disappointed)」

在日米大使館は、安倍を批判する声明を発表した。「裏切られた」という意味を含む「disappointed」は同盟国には通常使わない。声明を指揮したのは副大統領のジョー・バイデンだとされる。

バイデンはこの2週間前、安倍に「韓国の朴槿恵大統領に『安倍は靖国に参拝しないと思う』と言っておいた。不参拝を表明すれば日韓首脳会談に応じるのではないか」と電話をかけていた。それだけに「裏切られた」と思ったようだが、安倍はもっと激怒し、周囲にこうぶちまけた。

「同盟国である米国が中国と一緒になって靖国参拝を批判するとはどういうことだ。中国を利するだけじゃないか。オバマ政権に戦略性がないことがはっきりした!」

× × ×

この指摘通り、米政府の反応は中韓両国を喜ばせ、欧米での歴史問題に関する対日批判をますます強めた。その裏で中国は東シナ海や南シナ海での覇権拡大を着々と進めていた。

11月23日には、沖縄・尖閣諸島上空を含む防空識別圏(ADIZ)設定を強行した。さらに武力による防衛的緊急措置を示唆し、圏内を飛行する航空機に事前報告を求めた。

安倍は「中国の領空であるかのごときだ。全く受け止めることはできない」と強く反発したが、米側は取り立てて問題視しなかった。大統領補佐官(安全保障担当)のスーザン・ライスは米中両国の「新大国関係」構築になお意欲を示し、尖閣諸島に関し「米国は主権の問題には立場を取らない」と発言した。

安倍の靖国参拝翌日、NYT紙は「日本の危険なナショナリズム」と題した社説を掲載した。あたかも安倍が東アジアの緊張を一方的に高めているかのような書きぶりだった。外交筋はこう解説する。

「当時、NYT紙とオバマ政権は蜜月関係にあった。社説はオバマ政権の考え方を相当反映していたと見てよい」

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戦後70年を迎えた平成27年4月、冷え切った日米関係に転機が訪れた。

「米国民を代表する皆さん。私たちの同盟を『希望の同盟』と呼びましょう。日米が力を合わせ、世界をもっとはるかによい場所にしましょう。希望の同盟。一緒ならできる」

米上下両院合同会議で、首相の安倍晋三が先の大戦で戦死した米兵に哀悼の意を表した上で、敵国から同盟国となった日米の「心の紐帯」を訴えると米議員は総立ちで拍手を送った。

8月になると安倍は戦後70年の首相談話を発表。「尊い犠牲の上に現在の平和がある。二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない」「あの戦争に何ら関わりのない私たちの子や孫、その先の世代に謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」と訴えた。

この2つの演説後、安倍の歴史観に対する批判は鳴りを潜めた。ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙は米議会演説前に「アベは戦時中の歴史にどれほど真摯に向き合うのか」と挑発的な社説を掲載したが、演説後は沈黙した。

× × × 

一方、歴史問題をテコに日米離反を狙う中国や韓国は失策を続けた。

米政官界では、安全保障などをなおざりにし、慰安婦問題に固執する韓国政府の態度に疑問の声が相次ぐようになり、「コリア・ファティーグ(韓国疲れ)」という流行語が生まれた。27年3月に親韓派で知られる駐韓米大使のマーク・リッパートが親北派の暴漢に襲撃され、顔に約80針も縫う大けがを負ったことも韓国への心証を悪化させた。

中国は9月に抗日戦勝70年を記念して軍事パレードを行ったことが裏目に出た。米英独など主要国はほとんど出席を見送った。

米紙ワシントン・ポスト(WP)は「中国の反日プロパガンダは国内問題から国民の目をそらす意図がある」と批判。NYT紙も「日本を『反省しない敵』と位置づける中国政府の決定は、天安門事件の弾圧で共産党への信頼の危機が生じたからだ」と断じた。

南シナ海での人工島建設などもあり、米大統領、バラク・オバマも中国への不信を強めていく。

NYT紙の慰安婦問題に関する記事にも変化が表れた。日本側の主張も取り上げるようになり、12月の慰安婦に関する日韓合意の際は、社説で「安倍首相と朴槿恵韓国大統領が慰安婦問題を終了させたことについて高く評価されるべきだ」と説いた。

安倍とオバマの距離が縮まったのは、平成26年4月23日に東京・銀座のすし店「すきやばし次郎」で開かれた夕食会がきっかけだった。2人はカウンターですしをつまみながら、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の懸案を協議した。安倍の靖国参拝から4カ月しかたっていなかったが、オバマは一切言及しなかった。ビジネスライクなのは相変わらずだったが、オバマの目には「アベは決断力と実行力がある政治家だ」と映ったようだ。

2カ月後、2人はブリュッセルで開かれた先進7カ国(G7)首脳会議で顔を合わせた。ウクライナ問題に端を発した対露制裁をめぐり、オバマは仏大統領のフランソワ・オランドと対立。孤立するオバマを救ったのが安倍だった。会議後、オバマは安倍にハグ(抱擁)で謝意を示した。

27年になると、オバマ政権の安倍への「色眼鏡」はほぼ消え、日米同盟は再び深化し始めた。4月の安倍の訪米は歓迎ムードに包まれた。

両首脳の蜜月を裏付けるように、3月には大統領夫人のミシェルが初来日し、首相夫人の昭恵は、自らが経営する都内の居酒屋でもてなした。昭恵は駐日米大使のキャロライン・ケネディとも親交を深め、6月には安倍の地元・山口県で一緒に田植えを体験した。

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安倍がハワイ・真珠湾での慰霊を意識するようになったのは、米議会で演説したころだった。

安倍の祖父で元首相の岸信介も真珠湾を訪れ、国立太平洋記念墓地(パンチボウル)で献花している。現地の日本語紙「ハワイ報知」によると、岸は昭和32年6月、米大統領のドワイト・アイゼンハワーとの会談後にハワイに立ち寄り、「先の戦争から10年以上経過し、日米にとって真のパートナーシップの新しい時代が始まろうとしている」という言葉を残していった。

安倍は自らの真珠湾訪問を「戦後政治の総決算」と位置づけ、オバマとともに「和解の力」を世界に向け発信しようと考えている。真珠湾攻撃で米国でわき上がった「リメンバー・パールハーバー」という合言葉が、和解の力を象徴する合言葉になることを願って。この願いがかなうとき、日米の歴史戦は本当の終わりを迎える。=敬称略

(田北真樹子)

「中国軍はヘリで尖閣を急襲する」と米研究機関

JBpress 7月6日(水)6時5分配信

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160706-00047278-jbpressz-int&p=1

 中国軍が尖閣諸島など日本の領海や領空への侵犯を重ねる中、中国の軍事動向を調査する米国の研究機関が「中国軍部はヘリコプター急襲や洋上基地の利用によって尖閣諸島を奪取する戦略を着実に進めている」とする分析を明らかにした。

同研究機関は、中国は長期的には東シナ海での覇権を確立するとともに、沖縄を含む琉球諸島全体の制覇を目論んでいると明言している。

■ 尖閣制覇の目的は?

ワシントンで中国の軍事動向を研究する民間機関「国際評価戦略研究センター」の主任研究員リチャード・フィッシャー氏は、中国人民解放軍の東シナ海戦略についての調査結果を報告書にまとめ、このほど公表した。

同報告書は、まず中国が南シナ海で人工島建設による軍事化を推進し、同時に東シナ海でも、2013年11月の防空識別圏(ADIZ)の一方的な設置宣言に象徴されるように、軍事能力を高めていることを指摘する。特に、尖閣を含む琉球諸島の南部を重点的な対象とした(1)レーダー網や電子諜報システムの近代化、(2)J-10やJ-11など第4世代戦闘機の配備、(3)新型の早期警戒管制機(AWACS)や電子諜報(ELINT)の配備や強化、(4)以上のような戦力の演習の頻度増加――などが最近、顕著にみられるという。

 また同報告書は、中国は尖閣諸島の軍事奪取のための能力を特に強化しているとし、尖閣の制覇には二重の目的があると分析する。つまり、“台湾攻略のための戦略拠点を確保する”、および“2020年頃までに東シナ海全域で中国の戦略核潜水艦活動の自由を確保する”という目的である。

■ 着々と進んでいる尖閣奪取の準備

同報告書はそのうえで、尖閣諸島の軍事奪取に向けた中国人民解放軍の最近の動きとして、以下の諸点を列記していた。

・浙江省の南麂列島で、ヘリコプター発着を主な目的とする新軍事基地の建設を始めた。この基地は尖閣諸島から約300キロの地域にある。中国軍ヘリのZ-8やZ-18は約900キロの飛行距離能力があり、尖閣急襲用の新基地と目される。

・2015年6月以降に、浙江省の温州市で、日本の海上保安庁にあたる「海警」の新しい基地の建設を始めることが明らかになった。温州市は尖閣諸島から約320キロの地点にある。温州市の海警基地はまず尖閣諸島方面での任務につくとみられる。

・中国海軍は新型のホバークラフトをすでに東シナ海に配備した。さらに新鋭の重量級ヘリの開発にも着手し、尖閣諸島や宮古列島、八重山列島への敏速な軍事作戦の実施能力を高めている。

・中国海軍はウクライナ・ロシア製の時速50ノット、運搬量500トンの大型ホバークラフト2~4隻を購入し、同様の国産艦も製造中である。その結果、中国軍は、ヘリコプターの急襲部隊を後方から敏速に支援することが可能になる。

・中国軍は、搭載量15トン、飛行距離400キロの新型ヘリコプターも独自に開発している。完成して配備されれば、尖閣諸島の占拠にきわめて効果的な手段となる。

 ・中国は、2015年7月に公開した巨大な「洋上基地」の東シナ海への配備を実際に進め、尖閣攻略の有力な武器にしようとしている。この洋上基地は軍用航空機と軍艦の洋上の拠点として機能するため、中国が占拠した尖閣諸島に曳航すれば、即時に新軍事基地となる。

■ 沖縄や先島諸島も狙われている

さらにフィッシャー氏は同報告書で、尖閣諸島だけでなく沖縄や先島諸島(宮古列島と八重山列島)をも日本から奪取しようとする中国の長期戦略の存在を指摘した。

同報告書によると、中国人民解放軍の羅援少将(軍事科学研究院所属)らは、中国共産党機関紙「人民日報」などに2013年半ば以降一貫して「沖縄を含む琉球諸島は本来は中国の主権に帰属する」という主張を発表してきた。中国と沖縄や先島諸島との歴史的な関わりを強調するその主張は、中国政府の意向の反映とみられるという。フィッシャー氏は、中国の尖閣諸島への攻勢は、沖縄などを含む日本領諸島へのより広範な長期戦略の一環であるとしている。

米国で明らかにされた、こうした中国の尖閣諸島、沖縄その他の琉球諸島、さらには東シナ海全体への軍事的野望の実態は、当然ながら日本でも深刻に受けとめなければならない動きである。

古森 義久

妖怪が日本国を徘徊している。立憲主義という妖怪が… 駒沢大名誉教授・西修

産経ニュース 2016.5.3 11:00

http://www.sankei.com/column/news/160502/clm1605020005-n1.html

 

-ひとつの妖怪が日本国を徘徊している。それは立憲主義という妖怪である-

ご存じ、マルクスとエンゲルスの共著『共産党宣言』の冒頭をもじったものだ(同宣言中のヨーロッパを日本国に、共産主義を立憲主義に言い換えた)。

≪横行する手前勝手な決めつけ≫

近年、いろいろな場面で立憲主義という言葉が用いられている。ただし、正確に使用されているとは言いがたい。一部のメディアなどが盛んに唱えているのは、「憲法とは国家権力を縛る」ものと定義づけ、「国民は憲法を守る義務を負わない」「集団的自衛権を全面的に禁止していた政府解釈を変更することは立憲主義の破壊である」などの言説である。

はたして立憲主義に関するこのような捉え方は、正しいだろうか。

第1に、「憲法とは国家権力を縛るもの」という定義それ自体がいたってあいまいである。そのあいまいさをよりどころにして、自分たちの意に沿わない行為が国家によっておこなわれれば、立憲主義違反と決めつける。実に手前勝手な立憲主義論が横行しているように思われてならない。

立憲主義の本質は、国家権力の恣意的行使を制約することにある。

国家の役割がきわめて肥大化してきている今日、国家の機能もそれだけ大きくなる。それと同時に、ともすれば国家はその権力を濫用(らんよう)するおそれがある。そのような権力の暴走を阻止するのが、立憲主義の根本的な考え方である。国家権力が恣意的に行使されているかどうかは、民主主義のルールによって定まる。

≪国民の遵守義務は「理の当然」≫

第2に「憲法を守らなければならないのは、国家権力保持者であって、国民ではない」と唱えられる。その根拠としてあげられるのが、憲法99条の規定である。「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」。ここに国民が入っていないことを理由に、国民は憲法尊重擁護義務を負う必要はなく、またそれが立憲主義の原則にかなうと主張される。

曲解といわなければならない。現行憲法の採択が審議された帝国議会で、憲法担当国務大臣の金森徳次郎氏は、次のように述べている。「日本国民がこの憲法を守るべきは理の当然でありまして、ただこの第95条(*現行の第99条)は、憲法という組織法的な一般的な考えに従いまして、権力者または権力者に近い資格を有する者が憲法を濫用して、人民の自由を侵害する、こういう伝統的な思想をいくぶん踏襲いたしまして95条の規定ができております。国民が国法に遵(したが)うということはいうまでもないことでありまする」

要するに、憲法の尊重擁護義務は、ふだん権力を行使する立場にある公務員などを「特別に」対象にしたものであって、国民が憲法を守るべきは「理の当然」だから、条文の中に入れなかったというだけのことなのである。

世界の憲法をみると、多くの憲法に国民の憲法遵守義務が定められている。たとえばイタリアの憲法には、以下の規定がある。「すべての市民は、共和国に対して忠実であり、憲法及び法律を遵守する義務を負う」

≪国の存立のための集団的自衛権≫

第3に、集団的自衛権に関する今回の政府解釈の変更は、立憲主義の破壊になるだろうか。政府は9条に関連し、何度も解釈を変更してきた。当初は自衛権すら否定するような答弁をしていたが、警察予備隊、保安隊時代は「近代戦争を遂行するに足る兵力ではないので合憲」との解釈を示し、さらに自衛隊が発足すると、「自衛のため必要最小限度の実力は憲法で禁止する戦力に当たらない」との解釈に変えた。論理より現実を先行させた解釈の変更といえる。

政府が自衛隊発足以来、解釈を変えていないのは、「必要最小限度の自衛権の行使」は憲法に違反しないとの立場である。今回の解釈変更は、その「必要最小限度の自衛権の行使」を、「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされる明白な危険がある場合」に限定して、集団的自衛権の行使を認めたにすぎない。従来の解釈変更より、論理性は保たれている。

政府の最大の任務は、国の存立と国民の生命および諸権利を保全することにある。それはまた、立憲主義存続の前提でもある。国際社会の厳しい現実を直視すれば、限定的な集団的自衛権の行使は立憲主義の破壊ではなく、むしろ立憲主義の存続要因という結論に帰着するはずだ。

「国家権力は敵」という独善的な考え方のもとに、自分たちの政治目的を実現するために立憲主義という言葉を利用する-いわばポピュリズム憲法論が、現代日本に徘徊している妖怪の正体と映る。(駒沢大学名誉教授・西修 にし おさむ)

 

にせあかりちゃん、ひにくれてないでちょっとは真面目に #安保法制 きちんと考えよう

You Tubeに『【あかりちゃん】ヒゲの隊長に教えてあげたのになにいっちゃってんの』(Part2)動画ができたけど、佐藤正久議員のいうとおり「キレがなくなって」いるし、変わらず無知であるので指摘したいと思います。

にせあかりちゃん「徴兵制について:徴兵制の時だけ都合よく憲法持ち出すのやめような。前に経済的徴兵制のこと言ったんだけど。」
【そこ無知からくる誤解】:「経済的徴兵制」って言ってるけど、現在安倍内閣のアベノミクスによって高卒内定率は1980年代以来の高水準だよ。それに自衛官候補生でも3倍以上の志願者がいるし、あかりちゃんのいう「経済的徴兵制」と真逆の状況なんだよ。それって一体いつそうなると思っているの?少なくても安倍政権でない未来だよね。「東京新聞」なんて新聞の妄想に騙されないようにしようね。

にせあかりちゃん「合憲と主張している憲法学者は3人とかだから。違憲と主張しているのは日本の全憲法学者400名のうち圧倒的多数なんだけど。」
【そこ無知からくる誤解】:みんなどこが憲法違反ってわかっているのかな?集団的自衛権といっても非常に限定的で、海外に行って武力行使を行うわけではないんだよ。それに、憲法学者って言ってもそもそも自衛隊すら違憲と言っている人たちなんだ。自分たちの憲法、自分たちで良く考えようね。

にせあかりちゃん「それ砂川判決の話でしょ。それさー、裁判で認められたのは自衛権そのものの話で集団的自衛権には触れていないし、当時昭和47年政府見解でも集団的自衛権は違憲て結論出ちゃっているよね。なんで逆の結論でちゃうかなー。」
【そこ無知からくる誤解】:あかりちゃんは砂川判決の判決文を見たのかな?
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55816
そこには、こうあるんだよ。
「四 憲法第九条はわが国が主権国として有する固有の自衛権を何ら否定してはいない。
五 わが国が、自国の平和と安全とを維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置を執り得ることは、国家固有の権能の行使であつて、憲法は何らこれを禁止するものではない。
判決では自衛権を否定していないし、「自国の平和と安全とを維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置」は認めているよね。今回の安保法制では判例に従って、要件「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」の場合に限って集団的自衛権を認めるようにしているんだよ。
集団的自衛権の政府見解は過去にも変遷があるんだけど、今回の集団的自衛権は判例に従って限定的にしているんだ。

にせあかりちゃん「存立危機事態って言う定義が超あいまいでさー、キレやすいボスとかが『僕が日本が危ないと思えば戦争できるんだー』とかなりかねないのがやばいじゃんってのが問題だったじゃん。政党助成金170億とかもらっていたら税金の使い道とかどうでもよいのかな」
【そこ無知からくる誤解】:政府が勝手に判断するのではなく、現在の規定と同じく国会事前承認を必要としているよ。
それに、政党助成金云々てまさかあかりちゃん、政党助成金を受け取らないことをウリにしている日本共産党を支持しているのかな?党員から党費と赤旗新聞代を巻きあげている日本共産党?あかりちゃんも赤旗読んで、お友達にも新聞購読を勧める活動をしているのかな。ご愁傷さま。大変だね。

にせあかりちゃん「(アメリカの戦争にどう関わるか。佐藤議員「日本が武力行使をするのは日本国民を守るために限るんだ」)だから、それ個別的自衛権。日本国民を守るためだったら集団的自衛権要らないよな。最近は日本を守ろうとしているアメリカの戦艦を守るみたいな例え話がお気に入りたいだけどそ・れ・は・個別的自衛-権。つまりさ、いつの間にかヒゲたちの言っている限定的な集団的自衛権てほぼ今までの個別的自衛権と同じになっちゃっているのな。そしたら普通そんなリスクを増やしてまで新しくする必要ないじゃん。なんで支持率バク下げしてまで通そっとしているかって国益じゃなくって単にアメリカとの約束断れないからでしょ。」
【そこ無知からくる誤解】:あかりちゃん分かったよ。あかりちゃん赤旗とか東京新聞とか偏った情報を読み過ぎではないのかな?
あかりちゃんの頭の中の集団的自衛権て「アメリカが勝手に他国を攻撃して反撃されたら日本が駆け付け参戦して一緒に戦う」という妄想が膨らんでいるね?「いつの間にかヒゲたちの言っている限定的な集団的自衛権てほぼ今までの個別的自衛権と同じになっちゃっているのな。」って言っていたけど、去年7月の閣議決定の時と変わっていないよ。変わったように思うのは、赤旗とか東京新聞とかの偏った戦争を煽る記事の見過ぎだと思うよ。

「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」の一問一答(内閣官房サイト)


それに、日本人を乗せている他国の戦艦が攻撃されて、それを守るのは「集団的自衛権」だよ。
あくまで他国が攻撃されているんだから。もしそれを個別的自衛権で対応したら、それこそ日本が先制攻撃したと国際社会ではみなされてしまうから危険なんだよ。

安倍首相はテレビで「支持率のために政治を行っているわけでは無い」と言っていたよ。日本が戦争に巻き込まれないために、日本を守るために頑張っているんだよ。

にせあかりちゃん「(佐藤議員「かつての湾岸戦争やイラク戦争のような戦争にアメリカに参加を要請された場合には、かならず断ります」)この流れでヒゲに言われて信じる人いるかな?日本政府は湾岸戦争もイラク戦争も否定できでないじゃん。今までできてないことがこれからできるって何で言えんの?」
【そこ無知からくる誤解】:今まで戦争に参加していないのだから、これからも戦争に参加しないよ。法律の要件満たさなければ断るしかないね。仮に法律の要件を満たしていたとしても、日本政府としてどうするか判断するよ。
あかりちゃんは偏った情報に浸り過ぎていたからね。1週間保守速報だけの情報で生きてみたらどうかな?

にせあかりちゃん「紛争地域で国際貢献するNGOの皆さんへの駆け付け警護についてね。NGOの人達は駆け付け警護を求めていないって言っている」
【そこ無知からくる誤解】:それ、民主党辻本議員が設立したNGOピースボートにも聞いてみたのかな?ソマリア沖の海賊出没地域で海上自衛隊を呼んだんだよ。
今の法律では何かあっても海上自衛隊は何の反撃もできないのだけど、近くにいるだけでも安全なのかな?それこそ抑止力を期待してのことだったんじゃないかな?動画作るの大変でしょ?あかりちゃんももう少し安保法制と国際情勢を勉強してみようね。毎日読む新聞をせめて読売新聞に変えてみたらどうかな?

オリジナル

よくわかる #安保法制

首相官邸のホームページ「平和安全法制等の整備について」の概要資料をもとに、今回の安保法制を簡単に解説させていただきます。

1ページ目です。

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このページは概要です。横軸をみると、左が平時、右に行くほど緊急事態となっています。縦軸では、上が我が国、国民に関する事項で、下が国際社会に対する貢献となっています。ここは最後に見直すとわかりやすいと思います。
2ページ目です。

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改正をする法律が10本、新たに制定する法律が1本です。その他右端に注釈として記載されていますが、これらに伴い用語だけ変更になる法律が10本あります。
野党議員で「10本一まとめでなくバラして審議してくれたら一部賛成できるのに」という人がいますが、「重要影響事態」「存立危機事態」など共通して修正する箇所がありますので、現実的でなく、一まとめに法改正を成立させなければなりません。
3ページ目が主要事項の一覧です。

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いわゆる「集団的自衛権」は、主に「5.事態対処法」で一部を認めています。今回の安保法制は、ただ単に集団的自衛権を認めただけのものではありません。
4ページ目。ここから内容が具体的になってきます。
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自衛隊法の改正で、左半分が「在外邦人等の保護措置」の新設です。外国にいる日本人が緊急事態に巻き込まれている際に、自衛隊が警護・救出・輸送を実施できるようにします。
実施にあたっては3要件が定められていて、特に②「当該外国等の同意があること」、①「当該外国の権限ある当局が現に公共の安全と秩序の維持に当たっており、かつ、『戦闘行為』が行われることがないと認められること」となっていて適用条件は厳しくなっています。
また、条文で『戦闘行為』の用語の説明は「国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう」となっていて、「国際的な武力紛争の一環」かどうかがポイントになると思います。

ですので、実際に戦争が起こっている場所に、日本人の警護・救出・輸送のために自衛隊を派遣することはできません。
ではどういった事態が想定されるかといえば、
・戦争開始前の危機状態時(イラク戦争前にトルコ機が日本人を救出したような事態)
・海外の空港での日本航空機のハイジャック
・在外日本大使館が襲われたような事態
が考えられます。

右半分が「米軍等の部隊の武器等の防護」です。これはわかりにくいですが、例えば日本防衛のために米軍の迎撃ミサイルや移動式レーダーを日本のどこかに移動・設置する際に、自衛隊が米軍等からの要請に基づいて警護することができるようになりました。

5ページ目も自衛隊法の改正です。

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上部が「米軍に対する物品役務の提供」についてで、活動の対象と弾薬を追加して、より米軍と自衛隊が一体となって活動しやすくしています。

最後の「国外犯処罰規定の整備」は国外で自衛官が反乱を起こしたときの罰則規定が漏れていたようで、今回追加になっています。なぜ追加することになったのか興味深いです。

6ページ目は国際平和協力法の改正です。

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・国連PKO等において実施できる業務の拡大(いわゆる安全確保、駆け付け警護)、および業務に必要な武器使用権限の見直しを行っています。現在、例えば襲撃を受けた民間人を保護するために自衛官を派遣した場合でも、武器を用いることができません。実態に即した改定となります。
・また、現在PKO活動を条文で「国際連合の統括の下で行われる活動」と定義されてしまっていますが、国連が統括しない人道復興支援やいわゆる安全確保等の活動を実施できるようになります。アチェ監視ミッション(2005年欧州連合の要請)やソロモン地域支援ミッション(2003年豪州等15か国・地域が参加)は国連統括活動ではないのですが、趣旨としては同じでした。このような国際貢献にも参加できるようになります。

7ページ目が今回の安保法制の肝の一つである「重要影響事態安全確保法」です。

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現在も「周辺事態安全確保法」があり、日本の周辺の地域における平和及び安全に重要な影響を与える事態に対して米軍の後方支援を行うことが可能です。しかし、どこまでが「周辺の地域」なのかが曖昧なのです。

今回法律の名称を「重要影響事態安全確保法」と変えて、「我が国周辺の地域における」の文言を削除したため、地理的制限はなくなりました。ただし、外国領域での活動については当該外国の同意がある場合に限定しています。ですので、反対の人達がよく言う米軍が外国をいじめて攻撃するのに加担することになるというより、むしろ第三国から攻撃を受けている国を日米で支援できるようになるのです。

そして、米軍だけでなく、国際連合憲章の目的の達成に寄与する活動を行う外国の軍隊をも支援できるようになります。もし、「重要影響事態」が発生して多国籍軍ができたような場合に、それらにも支援しやすくなるのです。

また、現在活動する後方地域について、「現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる」地域と定義されていますが、現実問題今は戦闘行為が行われていなくても先のことはわかりません。今回は「現に戦闘行為が行われている現場」では実施しないとする法律にして、万が一その場所で戦闘行為が起こってしまったら活動を一時中断・中止、そして再度手続きを行って移動・再開する等をするよう、現実に即して対応できるようにしています。

8ページ目が船舶検査活動法の改正です。

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「国際社会の平和と安全の確保」に寄与するため、その国の同意のもとに外国領域における船舶検査活動を実施できるようにしています。

9ページ目がもう一つの肝である「事態対処法の改正」です。

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今回「存立危機事態」(「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」)という概念を新設し、日本の存立が脅かされるような事態にあった時にいわゆる「集団的自衛権」を行使できるようにしています。

このような事態は、
・日本を防衛する米軍が攻撃された場合など、実質日本に向けた武力攻撃を受けた場合
・多くの国を巻き込んだ大戦が勃発
が考えられます。そう簡単に起きる事態ではありませんし、そのようなことが起きないようにしなければなりません。

この法律では、上記の「存立危機事態」のほか、日本が直接攻撃を受ける「武力攻撃事態」が発生した場合の手続きを定めて、混乱を最小限にするようにしています。
10ページ目で、前頁の「存立危機事態」に関連する事項の自衛隊法を改正しています。

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11ページでこれまでの内容と関連する法律の改正について簡単に説明しています。

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12ページでこれまでの内容を踏まえて、国家安全保障会議法(NSC設置法)を改正しています。

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13ページで、今回新たに「国政平和支援法」を新設しています。

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国連決議に基づき、国際社会の平和および安全の確保のために共同して対処する諸外国軍隊に対する支援活動を実施できます。
これまで「イラク特措法」「テロ特措法」「新テロ特措法」が時限立法としてありましたが、恒久法となります。この法律より、何かあってからバタバタと法律を作って準備するのではなく、日頃から訓練や情報収集を行うことが可能になります。

以上が安保法制の一通りの説明になります。ここまでを踏まえ
●「賛成」「反対」の前に安保法制の正しい内容を確認しましょう。
(特定秘密保護法の時と同じようにマスコミや野党は中身を説明せず「イメージ」しか言いません。)
少なくとも徴兵制につながるような法律は全くありませんし、ハードルは高いので直ちにどんどん戦争に参加するわけではありません。むしろ、国際貢献できる活動が増えています。

賛成する人がなぜ「賛成」するのか、反対する人がなぜ「反対」しているのか、を考えましょう

憲法と言えば9条しか頭にない人がいますが、
13条の幸福追求権や
前文もあります。
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を 通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦 争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託による ものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法 は、かかる原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われ らの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉 ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」

これらの日本国憲法を総合して考えましょう。

●そして、日本国民ひとりひとりが今後も平和を続けるためにどのようにしたらよいかをよく考えましょう。

≪資料≫
内閣官房
平和安全法制等の整備について
http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/housei_seibi.html

安保法制については、こちらのサイトもより詳しいので参考になります。
山下塾第5弾 変わりゆく自衛隊
http://www.jpsn.org/lecture/yama_vol5/

安保法制反対論者への 返答例集 を作成しました

安保法制反対論者への 返答例集 を下に作成しました。参考にしてください。

安保法制に賛成する理由 - 反対の人達は現状認識が違う
にせ【あかりちゃん】 安保法制反対の人達は、集団的自衛権しか頭にないことからくる無知」も併せてご参照ください

反対:徴兵制について、憲法18条の「苦役」に当たるから絶対ないということだが、そうすると自衛隊の任務は苦役なのか?自衛隊に対する冒涜だし、徴兵制がない根拠にならない!
回答:憲法18条を良くお読みください。意に反して強制したら違憲なのです。自衛隊員はみな志願して入隊していますし、辞める自由もあります。あなたの理屈でいえば建設作業員も「苦役」なのですか?そんなに徴兵制にしたいのですか?

反対:韓国も徴兵制を実施している。「ハイテク化」というのは理由にならないのでは?
回答:彼らのレベルとモラルの低い軍と、自衛隊を同じに扱わないでください。G7ではみな徴兵制を採用していません。

反対:安倍政権は「経済的徴兵制」を目指している。皆を貧困にさせて志願して自衛隊に入隊させようとしている。
回答:は?高卒内定率は1980年代以来の高水準ですけど。それに自衛官候補生でも3倍以上の志願者がいるのになぜわざわざそんなことをしなければならないのですか?それにそれを実現するのは何年後ですか?少なくても安倍政権でない未来ですよね。妄想はたいがいにしてください。

反対:戦争に巻き込まれるリスクは格段に高まる
回答:(模範例)日本が「重要影響事態」以上になったときのみです。そのまま放っておけば日本に重要な影響がある場合にのみ、海外で後方支援などを行えるようにはなります。戦闘地域では行いませんのでリスクは抑えられています。また法制化することにより自衛隊員が日ごろから訓練を行えるので、むしろリスクが軽減されます。そもそも、いざというときの行動のオプションが増えるだけで必ず自衛隊を派遣しないといけなくなった訳ではありません。日米関係強化により日本が攻撃されるリスクは格段に減るメリットの方が圧倒的に大きいです
回答:(本音の回答)あほんだら!いじめがあったり反社会勢力が暴れていても、リスクが高まるからと見逃して一人安全なところで傍観しているのか!お前らいじめ自殺を見逃す教師と同じだ!けんかで立ち向かえなくても、警察に通報し協力するとか地域住民と協力するとかできることしないと平和は守れないだろうが!それに、いじめ無視しておいて、いざ自分が被害者になったときに助けてとか、虫がよすぎるだろ!(反対派の本音は日本を孤立させたいのですがね)

反対:集団的自衛権は、アメリカが吹っ掛けた戦争に、日本が攻撃もされていないのにアメリカに加勢して戦争に参加する制度

回答:はー。勝手な解釈ですね。漢字の持つ意味を少しは考えたらどうですか?ヨーロッパなど他国の人に言ったら笑われますよ。集団的自衛権はグループ外からの攻撃に対し相互に守り合う権利です。抑止力を効かすことにより戦争を防ぎます。

それに安保法制の重要影響事態安全確保法では外国で活動を行う場合には当該国の同意を必要としています。むしろ攻撃を受けた被害国を日米でサポートする事をしやすくなるのですよ

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反対:それは「集団安全保障」だ

解説:これを言っている本人がまず安保法制をよく理解していない。「集団的自衛権は他国同士の争いに勝手に割り込んで武力行使するもの」と思い込み、かつ今回の安保法制ではPKO活動の拡充をしているがそんなこと知らずに安保法制は集団的自衛権のみと思い込んでいる人が多い。

回答:あなたがどこまで集団安全保障と安保法制をわかっているのかよくわからないですが、中国からの侵略に対して国連による集団安全保障は機能しませんよ。何しろ中国は安保理常任理事国で拒否権持っていますから
反対:安倍政権は戦後70年の平和をくつがえすつもりだ

回答:戦後日本は米軍によって守られてきました。そして近年中国の軍拡と横暴な振るまいにより周辺国の平和が脅かされています。平和をくつがえしているのは安倍政権でなく中国ではありませんか?今安倍政権は日米関係と周辺国との関係を強化することにより今の憲法のできる範囲で日本を守ろうとしています。
それにそもそも先の戦争のきっかけは、日本の石油の80%を依存していたアメリカによる、石油禁輸でしたよね。先の開戦の状況にしないために、日本はシーレーンにもっと敏感でなければ。そして孤立しないように、アメリカや価値観を同じくするアジアの国々と連帯を深めないといけませんよね。当時はアジアでまともに独立していた国はほとんどありませんでしたが、今は違います。戦後70年の平和を続けるためには不断の努力が必要ですよ。安保法制は必要です

反対:安保法制成立したら、中国は東シナ海のガス田開発を止めるのか
回答:止めないでしょうね。これこそ憲法9条と話し合いによる解決だけでは難しい証明ではないですか?日本をなめているのです。

反対:メディアはおかしい。NHK、NTV系、フジTV系は国会前反対運動を中継しない。
回答:放送法では、中立な報道が求められていて、賛否両方の論点を伝えないといけないのですよ。安倍政権は明らかな放送法違反のTV朝日系、TBS系にも寛容すぎますよ。確か特定秘密保護法で報道の自由が奪われるのではなかったですか?ちゃんと賛成する人も取り上げてください。

反対:民主主義ってなんだ?
回答:選挙で選ばれた議員が法案を審議・制定する間接民主主義です。身近な例ではごみ処理場建設や福祉歳出削減など、国民が直接判断しにくいことを、議員が政治に責任を持って決断する制度です。機能していますね。